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書籍考 その4 「食の終焉」 [書籍考]

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食の終焉」 ポール・ロバーツ著 神保哲生訳  ダイヤモンド社  2.800円
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 「美味しい物」をこよなく愛する私にとって今夏、衝撃的なタイトルの書籍が本屋さんに並んでいました。
早速購入しましたが、500頁以上の大作、読むのに時間がかかりました。

『ポール・ロバーツ』氏がインタビューでこの本について語っている記事が有りましたので、ご参考に。

 『実は食べ物には何十年も前から興味がありました。石油の本を書いたのは、当時、それがメディアの注目を浴びていたからです。その頃は石油価格が高騰していましたから。食のシステムと石油システムには共通点が多いのです。どちらもきわめて複雑かつ地球規模のシステムで、地球上のある地点で起きたことがその反対側に影響を及ぼすこともあります。石油ではそれが起きましたが、食べ物も同じです。石油は経済できわめて重要な役割を果たしますが、いうまでもなく食べ物はもっと重要です。石油の代わりは見つかりますが、食べ物は代えがききません』。

 『つまり食べ物は生死に関わるシステムなのです。経済的に重要なだけでなく、人々の精神にも深くかかわり、個人の生き方を左右します。誰かにあなたの食べ方を変えなさいといわれれば、腹が立つでしょう。なぜならば、それは自分の生き方を変えろと言われているのと同じことを意味するからです』。

 『これは基本的には”食の終焉”について述べた本です。それは単に食べ物がなくなるという意味ではありません。食に対する一つの考え方が終わりを告げようとしているということです。私たちは1世紀にわたって、食べ物の値段は下がり続け、量も増え、さらにより安全でより手に入りやすく、よりおいしくて進歩したものになると信じてきました。それは米国だけでなく欧州もそうだし、途上国でさえそう考えられてきました』。

 『今われわれはその考えを改めるよう迫られています。なぜならば、これまで食を進歩させてきた要因の多くが、実は持続不可能なものであることがわかってきたからです。安価な石油の入手が難しくなり、灌漑用水が干上がり始め、さらには飽食が肥満につながることもわかってくるにつれて、何もかもがよくなるはずだという食の古いモデルが、実は持続不可能な発想に依拠していたことを、われわれ人類はようやく理解するようになったのです』。

 『食の終焉というのは、食に対する一つの考え方が終わりを告げ、これに代わるより複雑な新しい概念が登場し始めることを意味します。食の危機をそれだけで考えると、乗り越えることは可能だと思います。そのためには新しいテクノロジーの開発や、食料を生産し消費する新しい方法の発見などが必要かもしれませんが、問題は、もはや食だけを取り出して考えることができない点にあります。食はあらゆることと結びついています。エネルギー、水、土、気候、地政学などと切り離すことはできません。そしてこれらすべての分野で同じような問題が起きています。十分な水を確保することが困難になっており、エネルギー価格も上昇しています。現在の食のシステムは安価な石油の上に設計されていることを忘れてはいけません』。

 そして著者は最後に、我々の様(僕の様)な消費者一人一人に何が出来るかを語っている。それは・・・・。

 『1番目は、自分を消費者だと考えるのをやめることです。約1世紀にわたって私たちは消費者として位置づけられてきました。大半の人は知らない間に食べ物を作る側から消費する側に回されていたのです。そして、私たち自身もこれを積極的に受け入れました。ですから、まずはもういちど生産者に返ること、そして少なくとも自分で何か食料を作ることが、解決への道筋の第1歩になると思います。それは庭で栽培してもいいし、市民農園に参加するのもいいでしょう。外食ばかりしている人は、料理するだけでもいい』。

 『2番目には、食についてもっとよく知ることです。たとえばこの食べ物はどこから来たのか。なかには何が入っていて、誰が作ったのか。どれくらいの旅をして食卓にたどり着いたのか。自分はこれが本当に食べたいのか、または食べる必要があるのか、などと自問することです』。


 食料生産システムのたどった歴史とその帰結、遺伝子組み換えかオーガニックかといった論争にも踏み込みつつ双方の長短に触れる。紹介される事例の面白さにもかかわらず、予測には暗澹(あんたん)たる気分にさせられる。食料はかつて、自然の恵みに過ぎなかった。現在も地球上の何処かでは、自給自足の生活を送っている人々は居る事は確かだが・・・。飽食の日々に毒されている、先進諸国の人々(私)が、ダイエットの為位に無駄食いを減らすことは出来ても?消費者たる事を捨てられるか?私のブログを著者ポール・ロバーツ氏が見たら、眉をひそめる事でしょうね!・・・・・「家庭菜園」をしたり、「料理教室」へ通う事が僕には出来るのでしょうか?????最大の問題を突き付けられた今夏でした。先ずは、「問題意識」だけは常に持ち続けようと思いました。

<豆知識>
 「ポール・ロバーツ」氏は、1978年生まれのジャーナリスト。ビジネスおよび環境に関する問題を長年取材。経済、技術、環境の複雑な相互関係を追求している。著書に『食の終焉』(ダイヤモンド社)、『石油の終焉』(光文社)がある。現在は、デジタル経済と個人の結び付きを考察した本を執筆中。



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